発語の前に見えてくる“まね”の形|模倣が見えにくい子どもへの関わり方

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はるみち

言語聴覚士公認心理師
はるみちです。

ママさん

うちの子マネっこしないけど大丈夫かな?

パパさん

模倣が大事って聞いたけど…してるのかな??

私は未就学児を対象とした発達支援事業所に勤めており、上記のような子供の発達に悩む親御さんのご相談をよくお受けします。

「マネ/模倣」についても不安の声は少なくありません。ネットで「◯◯カ月で△△のマネをします」みたいな基準だけを見ると余計心配になったりしますよね。

  • 同じ言葉を繰り返してくれない
  • 反応がはっきりしない
  • 同じ動きをしてくれない などなど

このような反応から、模倣はどうしても「できている/できていない」の白か黒かで考えられてしまいがち。

ただ実際の模倣の育ちは、いくつかのプロセスに分かれていたりします。

つまり、「できてないな」と思っていた行動も、よく観察するとちゃんと進行中なことが少なくありません。

今回の記事からわかること

  • 模倣が見えにくいと感じる理由
  • 発語の前に現れる“まね”の色んなカタチ
  • 「どこまで」できているかを確認する視点
    (できてる/できてない ではない)

これらを分かりやすく解説します。宜しければ最後までお付き合いください。

目次

「模倣」が見えにくい理由は“気づきにくい形”で現れているから

子供の模倣が見えづらくて、困っている親の図

「模倣していない気がします」というお話は保護者の方からよく聞かれます。

多くの場合に想像される模倣とは、「大人がした動きをそのまま同じ形で返す」この様な解釈が多いのではないでしょうか。

  • バイバイをしたらバイバイが返ってくる
  • 手を叩けば手を叩いてくれる

確かに分かりやすく目に見えやすい反応ですね。

これらはそれぞれが一つの完成形であり、実はそこに至るまでに小さな反応が静かに積み重なった結果なのです。

静かな積み重ねとは、以下のような反応

静かな積み重ね例
  • 大人の動きをジーッとみる
  • 口周りや手元に視線を集める
  • 同じタイミングで身体が“ピクっ”と動く

少々マニアックな反応ではありますが、これらは模倣に繋がる大切な土台です。

「できている/できていない」だけで見てしまうと、いたずらに不安が大きくなってしまいがち。

「模倣しないなぁ」と不安に感じる時は、もう少しだけジッと子供の反応を見てみましょう。気付かれにくい形で小さな模倣の積み重ねが既に始まっているかもしれません。

模倣は重なりあうチェックポイントの集合体

模倣とは「気付く」「見る」「取り込む」「再現する」この4つの要素が重なるポイントであり、一つの完成形であることを示している図。

模倣とは、子供のいくつもの小さな反応が重なった結果見えてくるもの。

基本的な要素は以下です。

  • 見る
  • 気付く
  • 取り込む
  • 再現してみる

これらが重なり合った結果、一つの模倣の完成形が出来上がるイメージ。

では、この要素を実際のチェックポイントに置き換えてみましょう。

要素実際のCポイント
みる大人の動きをよく見る
気付く目線が手元・口元などに集まる
取り込む注視・観察時間が長くなる
“再現”によって確認される
再現似た行動をとる
一部だけ似る
行動を繰り返す
時間差で表現する

この中では“再現”が最も確認しやすく、“取り込む”が最も確認しづらいところですね。

  • 特に“見る”“気付く”といった反応
  • 部分的な再現
  • 別の場面、時間差のある反応 など

このあたりが少しでも確認できていたら、それは模倣の学習が進んでいると考えて良さそうです。

次の章で詳しく取り上げます。

模倣が見えづらい時は「どこまでできてるか」を拾うと安心につながる

子供の模倣がどこまで進んでいるのかな?と想いをはせる親の図

ここでは「どこまで模倣ができているか」を拾いやすくするため、チェックリストにまとめてみました。

「できている」/「できていない」をチェックするものではありません。ご承知のうえお進みください

チェックリストの読み方
  • ✅は何個あてはまってもOK
  • コンプリートは不要
  • 行ったり来たりも普通にある
  • 1個でも確認できたら“ちゃんと進んでる”

見る・気づき

チェックポイント
  • 大人の動きや表情をじっと見ることがある
  • 口元・手元など動いている部分を注視する
  • 同じ遊びや動作を繰り返し見たがる
  • 見ている最中に笑う・驚くなど感情反応が出る

身体がつられる(無意識の同調)

チェックポイント
  • 同じタイミングで身体が揺れたり動く
  • 大人が動くと姿勢や身体の向きが変わる
  • 表情に変化が出る
はるみち

考えてマネる前のとても大事な反応です

一部だけ似てくる(部分的な模倣)

チェックポイント
  • 手や口など一部の動作だけをマネる
  • 強調された動きだけを拾う
  • 短く、簡単にした形で再現する
  • 順番は違うが似ている要素がある
はるみち

完全じゃなくてOK。療育現場でもよく見る反応です。

時間がズレて再現(遅延模倣)

チェックポイント
  • 後になってから似た動作をする
  • 別の遊び・場面で同じ行動をする
  • 自分なりにアレンジした形で出てくる

意図が感じられる再現

チェックポイント
  • 大人の動きを見てから動作を返す
  • 褒めると同じことを繰り返す
はるみち

ここまでくると、模倣が“行動”から“やりとり”に進化中!

これらはすべて、あとから「マネできた」と分かるための“準備”です。

どれか一つでも見えていれば、模倣はちゃんと子供の内側で育っています。

発語につながる模倣は急に跳ねるのではなく、静かに準備を整っていく

模倣の積み重ねが少しずつ発語につながる階段状のイメージ図

模倣や発語は、ある日突然「できる/できない」が切り替わるものではありません。

親視点から見て変化が少ないと感じる時でも、子どもの中では「見る」「気づく」「取り込む」といった小さな反応が、何度も重なり合いながら蓄積されています

  • (まねを)するかしないか
  • (言葉が)出るか出ないか

イチかゼロかの視点で見つめてしまうと、子供の積み重ねに気づきにくい

そしてその視点はママ・パパの不安を煽ってしまいがちです。

今回ご紹介したチェックポイントの多くは、後から振り返って「この時から模倣は始まってたんだな」と気づける内容になっています。

仕事や家事、そして子育てに忙しい毎日の中では気付きにくく地味な反応も多くありますが、発語へつながる大切な土台です。

今後の見通しや安心の一助に少しでもなれたなら幸いです。

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著者写真

はるみち(言語聴覚士/公認心理師)

【経歴】MRとして製薬会社に10年勤務し、30歳過ぎでST養成校へ。現在は臨床で言語聴覚士として10年以上の経験を持つ。令和4年に公認心理師を取得。
【専門】小児の言語発達とコミュニケーション支援。

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