模倣とは?発語につながる 「まね」の発達を言語聴覚士が解説

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はるみち

言語聴覚士公認心理師
はるみちです

ママさん

子供は1歳になるけど“拍手”や“バイバイ”のマネっこしないなぁ…

パパさん

“まね”って、そんなに大事ですか??

私は現在発達支援事業所にて勤務しており、子供の発達に関する相談を日々受けてます。

  • 1歳になるけど模倣がない
  • 2歳に張るけど発語がない
  • 3歳になるけど文の発話がない

特に上記のような相談の割合は高いです。

ネットで調べてみると「◯歳で話す」などの文言が多く見られることで、より不安が掻き立てられることがありませんか?

それは子供のことを大切に思う親の気持ちとして自然な事だと思います。

ただ、ここで注目したいのは一定の基準と比べることではなく、以下のようなことです。

言葉の発達で悩む時に注目してほしい点
  1. こどもが“”できていること
  2. ①がどのあたりの段階にいるのか
  3. ”親が知っておくと良いことは何か

横(他の子)や縦(未来)に気持ちを動かされず、いま”への注目が重要です。

言語発達の専門家として、子供の“いま”に注目するテーマとして今回取り上げたのは模倣(もほう)」

模倣とはいわゆる“まねっこ”。言葉を獲得・再現するための準備運動と捉えることができます。

模倣の意味育ち方をわかりやすく解説していますので、よろしければ最後までお付き合いください。

目次

模倣とは?遊びながら身に付く「学びのかたち」

発達でよく聞く“模倣”とは、以下の対象を自分のものとして取り込み、表現すること。

模倣で写しとる対象
  • 動き
  • 表情
  • 言葉 など

子供達は「教えられる」よりも、見て・聞いて・やってみることでわかる力(理解)を深めていきます。

その実践方法のひとつが模倣。

大人にとっては何気ないやりとりも、子供は「こう動く?」「こんな音?」と多くの情報を吸収しています。

普段の何気ないやりとりや遊びの中は模倣の機会に溢れています。

模倣は「動作→音→“ことば”」に繋げる競技のようなもの

突然ですが模倣を3段跳び競技に例えてみます。

  1. 動作の模倣(ホップ)
  2. 音の模倣(ステップ)
  3. 言葉の模倣/発語(ジャーンプ)

3段跳びで一番目立つのは、やっぱり最後のジャンプですよね。

言葉の発達も同じく、親御さんの目を一番引くのはジャンプ(言葉の模倣/発語)に向かってしまいがち。

だからこそ、まだジャンプできていない子や、滅多にジャンプを見せてくれない子に対して心配は募ってしまうと思います。でも三段跳びはジャンプのみの競技ではありません

ジャンプに至るまでの助走ホップ(動作模倣)ステップ(音の模倣)が存在します。これらを意識できるようになると以下のような気づきが生まれてきます。

ママさん

あれ…?うちの子最近めっちゃホップしてるやん!?

こういった気づきによって子供のことばに関する不安が全て消え去るわけではないかもしれません。それでも

  • 今、模倣段階のどこにいるのか
  • 次に何が育ちやすいのか

こんな理解から、ただ不安でしかなかった事が“見通しを持った待ちの時間”へと少しずつ変化していきます。

私たち大人も初めて何かを表現する時は、いきなり上手にオリジナルの表現をしていません。誰かのやり方をマネたり、なぞったり、“お手本をマネすること”から始めてきたはず。

子供にとって模倣という3段跳び競技は、まずで捉えやすい動作の模倣(ホップ)からスタートします。

そしてそれを土台に少しずつ音の模倣(ステップ)が育つ。動作と音の模倣はキレイにスライド移行するわけではなく、重なり合いながら発語(ジャンプ)へと進むのです。

順番にみていきましょう。

①動作の模倣(ホップ)

目で捕まえる情報の方が、耳で捕まえる情報よりもイージーモード。そのため、模倣も例外なく動作をまねるところが入門編

ここからホップを質の違う2つの層に分けて説明します。

表情やポーズのまね(ホップ1)

まず、育ちやすいのが表情や口のまね

  • 大人が笑うと子供もニコッとする
  • 大人が口を大きく開けると、口元を動かす
  • (ゞ)ベロを出す などなど

こういった反応は「人の顔を見ている/相手の変化に気付いている」といったサインでもあります。

赤ちゃんの模倣の学習は、まず大人の顔や口の動きをじっと見て、「こんな動きがあるんだ」感じるところがスタート。

ダンスやポーズも同様で、“相手の動きを自分なりに真似ることそのもの”が大切です。

この模倣にはまだ“子供の意思や表現といった意味”ありません見て、同じ動きをしてみるという回路作りをしている段階

口元や表情、動作を見て真似ることは、後々発語につながるための大事な伏線となります。

ジェスチャーや、意味ある動作のまね
(ホップ2)

表情や口の動きの模倣は動きそのものを観察して写す練習

対して、ジェスチャーなどの模倣は“意味”を写す練習です。ホップ1と2を表で比較・整理してみましょう。

項目(ホップ1)
表情・口、
ポーズの模倣
(ホップ2)
ジェスチャーの模倣
難易度低〜中
対象視野狭い広い
子供の意思ほぼ無く 
反射・同調・共有
あり
役割模倣の土台コミュニケーションの練習

早い時期に覚えて、よく使われる模倣は以下です。

  • バイバイ
  • ちょうだい
  • 指差し など

このようにジェスチャー模倣になると「伝えたい」「わかって」という他者へ向けた意図がはっきりしてきます。

ここまでホップ(動作の模倣)で情報を取り込むパートでした。

次のステップ(音の模倣)からはで取り込むパートになります。

②音の模倣(ステップ)

動作の模倣(ホップ)が増えてくると、次に見えてくるのがの模倣。

ここで注意したいのが、“ことばではなく音”の模倣であるということ。

「まだ話さない=できてない」と誤解されがちなポイントだからです。

音の模倣は子供にとってこんなことを少しずつ学んでいく段階

  • 色んな音・声を出せることを知る
  • 音・声がやりとりに使えることを知る

つまり、まだ意味のある言葉を出す段階ではありません

だからこそ、この時期に「話さない」ことを過度に心配する必要はありません。

耳でとらえる音の模倣は、ざっくり見ると初期と後期で子供の反応に違いが出てきます。

音の模倣(初期)
  • 同じタイミングで発声する
  • 声の強弱や高低だけあってくる
音の模倣(後期)
  • 同じ音を遅れて発声する
  • 語尾だけ(部分的に)まねする
  • 楽しそうに繰り返す

音を正確にマネていなくても、「声を出す」「音で返す」反応は

発語に向かって着実にステップを踏めている大切なサインです。

音の模倣(ステップ)が安定してくると、その音に意味がペタリとくっつき始めます。

それが言葉の模倣(ジャンプ)

③言葉の模倣(ジャンプ)

いよいよ言葉の模倣(ジャンプ)ですが、このジャンプはある日いきなり高く飛べるようになるわけではありません。

多くの場合は以下のような小さなジャンプから始まります。

  • 音の並びが“それ(言葉)っぽい”
  • 使う場面が限定されている
  • いち部分だけの模倣(語尾だけとか)
ママさん

今のって…ことば!!?(ソワソワ)

パパさん

意味わかって言ってくれた?(ハラハラ)

子供の言葉を待ちわびていると、どうしても気になってしまいますよね。

私も2児の父親なので、「今パパって言った!??」といちいちザワついていました。

だがしかし専門家の立場としては、発音の正確さや語彙のバリエーションは二の次として、以下のことを大切にして下さいと言わざるを得ません。

発語初期に大切なこと
  • 決まった場面で使おうとしてるか
  • “言葉”として発しようとしているか
  • レスポンスとして返そうとしているか

ぶっちゃけ音(言葉ぽいもの)でもok。

そこに意味がペタッとくっついているか否かが、音の模倣(ステップ)とは異なってくる点です。

まとめ:発語は急に生まれるものではなく、積み重ねの先にある

子供の発語はある日いきなり現れるものではありません。

  • 目で見て真似る
  • 体を動かして真似る
  • 耳で聴いて音を真似る

このような経験を積み重ねていくことが「ことばを出せる準備」に繋がっていきます。

3段跳びに例えると

  • ホップ=動作の模倣
  • ステップ=音の模倣
  • ジャンプ=ことばの模倣

ジャンプだけを切り取って見てしまうと「発語まだ?」「遅れている」という不安ばかりが大きくなってしまいます。

ここで「やりとりでよく表情が変わるな」「動作のマネよくするなー」などの姿が見られるなら、子供達は日々ジャンプに向けた準備を進めています。

毎日の小さな反応ややりとりを「まだ」ではなく「もう、ここまできている」と捉えることで見えてくる景色は変わってくるはず。

ことばはそれまでにお子さんが培ってきたものが自然に溢れ出すもの。

今のお子さんの姿は、その道中にある大切な一場面です。

発語への不安が拭えない方に

それでも発語がないと「このまま待っていていいのか?」と、どうしてもザワザワしてしまうものですよね。

そういう時には専門家の意見を聞くことをお勧めします。

子供さんが“今できている力”を一緒に確認して、必要なサポートを選んでいきましょう。

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著者写真

はるみち(言語聴覚士/公認心理師)

【経歴】MRとして製薬会社に10年勤務し、30歳過ぎでST養成校へ。現在は臨床で言語聴覚士として10年以上の経験を持つ。令和4年に公認心理師を取得。
【専門】小児の言語発達とコミュニケーション支援。

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