「2歳を過ぎても言葉がなかなか出ない…」
「周りの子はどんどん話しているのに、うちの子は単語も少なくて不安…」
私は現在、児童発達支援の現場にいますが、子供の言葉の悩みを抱える親御さんはとても多いです。また私自身も、父親として過去に同じ悩みを経験しています。
そんな時にオススメする方法の一つが絵本の読み聞かせです。
なぜなら、絵本には言葉をキャッチしやすくするための工夫が“楽しく・自然に”散りばめられているからです。そして、毎日忙しいママ・パパにとって、子供との時間をギュギュッと濃密に共有する手助けをしてくれるはずです。
今回の記事を読んで頂くことで、言葉を促す絵本に対する以下の点を知ることができます。
- オススメ絵本はどんなやつ?
- 言語聴覚士の立場からオススメする理由
- 療育現場や実生活での使用例
「ことばが出ないな」と、フッと不安がよぎる毎日から一歩踏み出せるような内容になっています。
是非参考にしてみて下さい。
2歳児の言語発達に大事な役割を持つ“絵本”


言葉とは身体の外に出た途端に消えてしまい、目の前にとどまっていてはくれません。例えるなら流れていく水のようなイメージです。
完全にとどめることはできませんが、言葉という水の流れを受け止めやすくする器のような役目を絵本は担ってくれます。
また子供の心の状態や、親の接し方でもその器の大きさや形は変化をするものだと私は考えます。
どんな器がお子さんにとってより良いのか、一緒に探してみましょう。
【言語聴覚士がおすすめ】2歳児の言語発達を促す絵本7選


おすすめ絵本1 かおかおどんなかお
- 絵本の顔(パーツ)・親子それぞれの顔パーツを指差ししながらやりとりできる
- 笑った顔(ニコニコ)泣いた顔(えーん)と擬音の促しを親子で見合わせながらできる
- 表情(感情)と言葉の結びつきを学ぶ“入り口”としてとても良い
- 表情筋を大きく使うことで、はっきりと言葉を発する準備運動がたくさんできる



ASD(自閉スペクトラム症)ちゃんなど、他者への関心が薄い子供は特に他人の表情を見ることが苦手。
ヒトの表情と気持ちを知る題材として重宝しています。
おすすめ絵本2 きんぎょがにげた
- 「こんどはどこ?」という問いかけからやりとりが生まれる
- きんぎょを探す動機が指差しを促す
- 探す行為は頭の中にあるイメージを、指差しとして表現する練習になる
- 指差し表現は言葉の表現の前段階にある



かわいい金魚を“大人と一緒に探す”ことに夢中になってくれる子供が多いです。
“一緒”に“共有”する事は言葉の土台としてとっても大切。
おすすめ絵本3 くだもの
- ものっすごく身近な事物である“くだもの”が題材
- 「はい どうぞ」でやりとり↑↑繰り返しフレーズで動作も伴う
- 食べる動作から模倣を促し「あむあむ」などの擬音を添えやすい



身近なものは頭の中に浮かべやすいもの。よく知らないものより言葉にしやすいです。
我が家の2歳児は、絵本の中の果物を全力でつかみとりにかかります。私も負けずに激しく「あむあむ」しています。
おすすめ絵本4 じゃあじゃあびりびり
- オノマトペ(擬音・犠声音)がたくさん出てくる
- 短い音の繰り返しで子供の耳に残りやすい
- 車・水・犬など身近なものが題材
- 音マネにピッタリ
おすすめ絵本5 たべたのだあれ
- 「たべたのだあれ」の問いかけからやりとりが生まれる
- 問いかけから指差しを促す
- 変化のある動物とない動物を見極める思考力が育つ



指差しだけだった利用児さんが「アイ#※(アイス)…」と指差しに引っ張られて言葉が出た瞬間は忘れられません。
おすすめ絵本6 だるまさんシリーズ(だるまさんが・と・の)
- 「だ・る・ま・さ・ん・が・・」フレーズの繰り返しが言葉を捉えやすい
- 動作の模倣は言葉の模倣の前段階として理想的
- 「どてっ」「ぷしゅー」などの擬音は実際に動作を真似ることで模倣を促せる



ある利用児さんは「どてっ」とこける動作の真似から始まり、ある日動作+「(ど)ちぇ」と音を添えてくれるようになりました。
ボックスがまたかわいい…
おすすめ絵本7 まてまてころころ
- 「引っ張る」「めくる」動作で能動的な絵本への参加を子供に促す
- 仕掛け✖️探索で絵本への好奇心と没入感↑↑
- 簡単な設定とストーリーがあることで創造性や思考性を養う



親も一緒に思わず楽しくなってしまう絵本です。かくれんぼ要素が子供達にとっても楽しいようです、
言語聴覚士おすすめ“読み聞かせのコツ”
読み聞かせはちょっとした事を親が意識するだけで、効果的に子供が楽しみ・学ぶことが期待できます。
一例として同じ本を繰り返し読むことが挙げられます。
- 次のセリフやフレーズを子供が予測できるようになる
- 予測できる言葉はつかまえやすい
- 捕まえた言葉はインプットしやすい
- インプットした言葉はアウトプット(表出)へ繋げやすい
繰り返し同じ絵本を読むことで上記の様な良い循環が生まれやすくなります。
是非参考にされてみてください。
まとめ
言葉は「教えよう!!」と意気込むことよりも楽しむことが有効な場合がとても多いです。
絵本は2歳児の言語発達を楽しみながら促すことができるとても有効な手段のひとつと言えます。
お父さん、お母さんが楽しみながら絵本を読んであげられたら、それは子供にとってとても素敵な「ことばの時間」になるのではないでしょうか?
今回の記事がそんな親子さん方の一助になれば幸いです。
なぜ絵本が子供の言語発達に良いのか、詳しく知りたい方はこちら

