これって発達障がい?子供との関わり方に困っている方へ

言語聴覚士・公認心理師のはるみちです
うちの子は言葉が遅れているのかな?
療育・支援を受けてはいるけど、家で何かできることはないかな?
発達支援の仕事に就いたけれど、子供達との関わり方がわからない…
私は言語聴覚士として、医療の現場から療育の世界へ足を踏み入れた当時は子供達との接し方・遊び方など悩みが絶えませんでした。
そこで子供達への関わり方について、多くのヒントをくれるインリアル・アプローチという考え方と出会いました。
今回はそのインリアル・アプローチについて、下記3つのパートに分けてお話しをします。
上記のいくつかを知るだけで、これまで受け止め方がわからなかった子供達の反応や、これから先の関わり方について大きな手助けになります。
宜しければ最後までお付き合いください。
関連文献:表出の少ない自閉症児とのコミュニケーションを広げる関わり
インリアル・アプローチとは
インリアルアプローチとは、他者との関わりが上手にできなかったり、ことばの発達に遅れが見られる子供達に対する大人の関わり方のことです。
“基本的な姿勢”や“技法”を理解した上で適切に子供と関わると、子供の表現する意欲を高める効果があると考えられています。


一言でまとめると“子供とのやりとりを、より楽しむためのコツ”です。
それでは関わりの基本姿勢から見ていきましょう。
関わりの基本姿勢「SOUL」


以上4つの頭文字をとって「SOUL」と表現されます。
ここでは子供と接する時に4項目を意識した構えと考えてみましょう。
一つずつ見ていきます。
⑴サイレンス:静かに見守る


子供自身から動き出すまで、大人から声をかけたり手を振ったりしない。
今居る環境に子供が慣れ、活動するまで本当にただただ見ているだけ。意外と難しいです。
⑵オブザベーション:観察する


毛糸玉で遊んでいるな
今はじーっと動かないな
など、子供の状態を出来るだけ客観的に観察します。自分の感想を入れないのがポイント。
⑶Understanding(アンダースタンディング:深く理解する)


客観的なObservationに対して
主観的なUnderstandingと考えられます。
積み木を取ろうとしているな(客観)⇨ボールよりも積み木が好みなのかな(主観)
じーっと動かないな(客観)⇨まだこの場所に慣れないのかな(主観)
このように理解を示すことと言われます。
⑷Listening(リスニング:耳を傾ける)


言葉だけでなく音
それに留まらずジェスチャーや運動といった
子供が表現するアクションに目や耳をしっかりと傾けます。
コミュニケーションの原則


基本姿勢に続いて、ここからはコミュニケーションの原則についてお伝えしていこうと思います。
子供とやりとりをする際の意識すべきルールと解釈すると良いかもしれません。
コミュニケーションの原則は以下の6つから成り立っています。
一つずつ確認していきましょう。
大人が子供の発達レベルに合わせる


発達レベルと言ってもそんなに難しく考える必要はありません。
積み木が2段組める子供に対して、大人が10段組んで見せても「ポカーン??」となってしまいがち。
一緒に2段の積み木遊びを共有するイメージです。
会話や遊びの主導権を子供に持たせる
大人発信の「これしよっか」「あれはどうかな」はインリアル・アプローチの考え方から逸れてしまう事が多くあります。
生活空間や療育空間といった環境の中で、子供が反応し表現するものに大人が合わせる事が大切です。
子供が始めるまで待ち時間をとる
子供が何かを始める時はゆっくりな事が多いですよね。
大人はヤキモキしたり、先回りしてあげたくなることも少なくないと思いますが、そこをグッと堪えて許される範囲でじっくり待ってあげましょう。
子供のリズムに合わせる
積み木の例ばかりで恐縮ですが、ゆっくりと2段重ねができたら大人もゆっくりと2段重ねてみる。
大人は深呼吸でもしながら、余裕をもって子供に合わせてみましょう。
やりとりを行う


子供⇨玩具の一方向でなく
子供⇔玩具⇔大人のように、双方向の働きかけによってやりとりをしてみます。
会話や遊びを共有しコミュニケーションを楽しむ
言葉によるによるやりとりや言葉以外のやりとりはもとより、その場・その時間を子供と一緒に楽しむことが大切です。
言葉がけのテクニック(言語心理学的技法)
ここまで「姿勢」や「ルール」といった、ある意味ストレスの溜まりそうな話題ばかりでしたが、いよいよ実践的な言葉をかける時の技法についてお話しをしていきたいと思います。
子供の行動をそのまま真似る(ミラリング)
子供が手を「パンパン」と2回叩いたら、大人も真似して「パンパン」と2回叩きます。
子供がゴロリンと転がったら、大人もゴロリンと転がってみせます。
- 自分と一緒だ
- どっちも楽しんでいる
- もっと何かしてみよう
上記のように、子供が大人との共通点を見出すことで親密さが高まり、関係性が築かれてゆく効果があります。
言葉や音をそのまま真似る(モニタリング)
日本語として意味のある言葉でも、意味をまだ持たない音であっても、子供から発せられる音はそのまま真似をします。
子供の気持ちや行動を言語化する(パラレル・トーク)
子供が車の玩具で遊んでいたら以下のように声掛けをしてみます。
ブーブーだね
ブーブー いけー
このように「こういうことを子供は言葉にしたいんじゃないかな?」と察しながら言語化をしてみましょう。
インリアル・アプローチの中でも少し「攻め」の匂いを感じるテクニックです。
大人の気持ちや行動を言語化する(セルフ・トーク)
子供ではなく、大人が車のおもちゃを動かしながら
「ブーブー」や
「ブーブーきたー」など
大人がやっていること・思っていることを言葉にするのがセルフ・トークです。
子供の言い誤りを正しく直して聞かせる(リフレクティング)
某有名な映画のワンシーンで以下のようなセリフがあります。
おじゃまたくし!
とうもこ○し
子供からこのような言葉を聞いたときに以下のような反応はNGです。
違う違う。おたまじゃくしだよ。ほら、言ってみて?「おたまじゃくし」
こっちの方が望ましいです。
うんそうね。 「おたまじゃくしだね」
このようにあくまで大人が自然と言いなおすということです。
2歳の我が子がチョコのことを「こちょ」と言いますが、勿体無いので敢えてリフレクティングはしていません。
子供に新しい言葉の表現を示してあげる(モデリング)
例として
子供がおやつを食べている時に
「もぐもぐ おいしー」と大人が声をかけてあげます。
無言のアクションが言葉で表現できるんだな、と暗に子供へ伝えていきます。
子供自身の自然な行いが「言葉の表現と結びつくんだ」と知る機会が増えると思います。
子供の言葉を意味的・文法的に広げる(エキスパンション)
子供が「わんわん」と言ったら
「うん。 大きな わんわんだね」であったり
「わんわん 犬だね」など
一語文を二語文に広げてみたり、敢えて情報量を増やしてあげる事があります。
これは意味のある(と解釈できる)言葉が出ている子供が対象であり、
次のステップに誘導してあげる意味合いの特に強い技法になります。
まとめ
冒頭にお伝えした通り、インリアル・アプローチは3つの大きな項目で成り立っています。
ただ、ここで声を大にして言いたいことは支える側が無理をしないこと。
「お?今アンダースタンディングの姿勢じゃない?」
「子供に対して実は自然にパラレルトークしてるかも!」
先ずはこれくらいから始められると良いかもしれません。
忘れてしまったらまたこの記事を見返してみてください。私も見返しています。
また、インリアルアプローチを軸とした具体的な子供との接し方を別記事に掲載しています。
興味のあられる方はそちらも参考にされてみてください。


参考文献:障がい児通所支援における支援の質の評価に関わる調査研究:発達障がい者支援センター運営事業における新たな支援のあり方に関する調査