言語理解と表出の発達段階とは?0〜3歳のことばの育ちを言語聴覚士が解説

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はるみち

言語聴覚士公認心理師
はるみちです

ママさん

同じ年の子はもうおしゃべりしているのに、うちの子はまだ言葉が少なくて…

パパさん

息子は3歳になるけど、単語でしか話さないんです…

このような不安はありませんか?

私は未就学児を対象とした発達支援事業所に勤めていますが、発達に関するお子さんの悩み事では“ことばに関する相談事”が最も多いです。

ネットで調べると
「〇歳で〇語話す」
「この月齢なら2語文」
といったような情報を目にすると余計に焦ってしまいますよね。

“話す/話さない”は確かにわかりやすい指標です。ただ、言葉や文を話す前にもいくつかのステップが確実に存在ます。

私たち療育の専門家は、そのステップなどの知識を持つことで以下のような見通しを立てて支援に入っています。

  • この子はこんな反応が最近たくさん出ているからお話するまでもう少しかな
  • こんな関わりをすると次のステップに進みやすそう

この記事では、言語聴覚士の立場から**子どもの言葉が「どんな順番で言葉が育っていくのか」**をわかりやすく説明します。

「今のうちの子は、どのあたりかな?」

「次の目標はこのあたりだな」


そんな目安をつかむための地図として参考にしてみて下さい。

この記事からわかること
  • うちの子の言語発達段階はどのあたりにいるのか
  • ことばの目標が近いのか/遠いのか
  • ことばが育っていく順番

言葉(表出)の大まかな段階表を以下に記載します。

本記事の全体イメージくらいの認識で、今はサラッと見てもらえると幸いです。

発達段階
(伝え方)
観察できる
サイン
過程でできる関わり方
(わかる力の育て方)
①音声以外・目線
・表情
・指差し
・身振り
子供が注目しているものを一緒に見る 表情で返す
②声・音声喃語、反応として声を出すマネをする
③単語意味のある語を出す(発語読み聞かせで単語を強調
日常で言葉を添える
④2語文〜名詞+動詞
名詞+形容詞
ジェスチャーも組み合わす

のちほど詳しく説明

目次

言葉の発達は「わかる力」と「伝える力」の2つの軸で考えよう

“ことばの発達”のことを詳しく知りたいと思っても、「なんか難しそう」ですよね。

そんな時は「スパッ」と2つに分けて考えるとわかりやすくなります

  • わかる力(理解)
  • 伝える力(表出)

これです。ついついカラメル(表出)ばっかり見がちになってしますんですよね…

基本的には“わかる力”が先に育ち、その土台の上で“伝える力”が伸びるイメージを持っておくと整理がしやすくなります。そしてこの二つの力が相互に影響しあって言語力は育っていきます

カスタード(理解)が安定して大きくならないと、カラメル(表出)も上手く乗っかることができません。

パパさん

先生!子供が急に言葉を話し出しました✨

療育現場にいると、このような嬉しいご報告を頂くことがよくあります。

“伝える力”の方が周囲からするとわかりやすいです。でも、その背景には以下のような“わかる力”の地道な積み重ねが隠れています。

こどもの伝える力を支える名脇役“わかる力”
  • 状況がわかる
  • 相手の動作の意味(意図)がわかる
  • 相手の言葉の意味(使いどころ)がわかる など

それでは伝える力(表出)は、どのようなステップを経て育っていくのでしょうか。

次の段階へ導く、わかる力(理解)の育て方と共に次章で解説します。

“伝える(表出)力”は話し始める前から育っている

伝える力の発達は、「意味のある言語を話すことがスタートではありません。」

  • 表情
  • 目線
  • 指差し
  • 発声(発「語」ではなく)

発語よりも地味でわかりにくいですが、このような子供なりの表現が少しずつ育っています。

もちろん2語文で表出する子が、目線や指差し(ノンバーバル)で表出するパターンはあります。子供がゲットした伝え方の引き出しは、いつも単独で開かれるわけではないからです。

ここでは発語前から文で表出するまでの流れを段階ごとに見ていきましょう。

ノンバーバル表出①目線・表情の段階

目安:生後3〜9ヶ月頃から確認されることが多い


ノンバーバル表出とは「言葉を使わない伝え方」のこと。

今回の記事では先に挙げた表情や目線などを指します。

  • 欲しいものをじっと見る
  • 楽しいときに笑う、嫌なときに顔をそむける
  • 大人の方を一瞬ちらっと見る
  • 飛び跳ねる、地団駄を踏む など

上記のように顔や体全体を使って気持ちを表現しています。

ママさん

いやぁ…子がなにを言いたいんかわからん‥

大人から見ると確かにそう感じやすい時期ですが、この段階は子供の“伝えようとしている芽”がしっかり育っている状態

“伝える力”を次のステップに引き上げてあげるため、“わかる力”を育てる大人の関わりが重要になります。

わかる力を育てるための具体例

目線や、表情などをママパパに向けてくれた時に微笑み返すだけで十分

これは大人が「気持ちを受け取ったよ」という安心感を子供に与えます。結果として、子供にとって今後の伝えるアクションのハードルが下げる効果が期待できます。

ノンバーバル表出②身振り・指差しの段階

目安:生後9〜18ヶ月頃から確認されることが多い

興味や要求が、より「見える化」されてくる時期。

指差しとは、子供の意思が指先に一点集中されている状態。そのため、子供の意図を大人が汲み取りやすくなってきます。

また「ねんね」や「ちょうだい」などのアクションは、日常生活で日々繰り返される状況ともセットになる場合が多くあります。子供のこういった表現は、“自分だけで見ていた世界に大人を招き入れ始めたサイン”です。

言葉になっていなくとも、子供がはっきりとした意図を他者に伝えるのは、コミュニケーションの土台となる「共同注意」の芽生え。

一人で見る世界よりも、誰かと見る世界の方が自ずと刺激の量は増えていくものです。

わかる力を育てる関わり(散歩編)

  • 子供が犬に指差した…
    大人もすかさず犬に指さす。「おぉー」と発声などで反応を見せる。

ここで大事なポイントは正しさよりも大人のレスポンスの早さ

色や正しい名前などを教え込む必要性はこの時点では低いです。

指差したらママ(パパ)に伝わった/反応してくれた。楽しい♪」

この経験の積み重ねがものすごく大切になります。

指差しについては別記事で詳しく解説しています

声・音声による表出の段階

目安:生後6〜12ヶ月頃から確認されることが多い

声は出るけど「まだ会話にはなっていない」状態から始まる。

嬉しい/困った時などの子供の気持ちが溢れ出るタイミングで聞かれるケースが多い

先のノンバーバル表出①・②とセットで放たれる事もよくあります。乳児の喃語のような音をイメージするとピンとくるのではないでしょうか。

わかる力を育てる関わり(読み聞かせ編)

擬音語が多く使われている絵本をチョイスしてみましょう。

子供の表情や目線を親が観察しながら、発声や指差しなどのアクションがあると親が子供のアクションを真似します。

「そう、わんわん」「ブーブーだね」と音を添えてあげます。

好きな絵(キャラなど)に“いつも同じ音がくっつく”のね」という経験の積み重ねが、発声機会の拡大・発語へと繋がる架け橋になります。

おすすめの絵本や読み方について詳しくはこちら

発語による表出の段階

目安:1歳前後〜2歳頃から確認されることが多い

喃語の延長上で「まんま」「わんわん」などの意味ある語として声を発し始める段階。

様々なモノに向かって「わんわん」「まんま」など言い放つと思いますが、これはとっても健全な状態。

“過大汎用(かだいはんよう)”といって、ことばのストックが少ないため、とりあえず言い慣れた手持ちの単語を発します。

正確さはこの時点では求めず、いろんな場面で発語してもらいましょう。

わかる力を育てる関わり(日常でジェスチャー)

この頃はモノと音の繋がりに気づき始めた段階。つまり理解はまだとても不安定な状態です。

特に子供にとって音(聴覚情報)を捕まえるのは視覚情報を捕まえるよりも難しい。。なぜなら音はすぐ消えてしまうので。

そのため見てわかる情報(ジェスチャー・動き)が大きな助けになります。

動作やジェスチャーがあると、子どもは「この言葉は、今このことを言ってるのね」と理解しやすくなります。

「まんま」と子供に言われたら「そう、まんまね」と言いつつ食べるジェスチャーを添えてあげる感じ

一見回り道のようですが、“伝える力”を伸ばしたい時こそ“わかる力”と向き合うことが意外と最短ルートだったります。

2語文・文表出の段階

目安:2歳前後〜3歳頃から確認されることが多い

単語が少しずつ増えてくると、子供は「1語では不十分」なことに気づき始めます。

  • 要求・拒否など意思表示
  • 状況説明(誰 どんな)
  • 疑問・質問 ほか

このようなことを伝えるために“単語”を組み合わせ始める時期が文表出の段階

療育の現場や、私生活での実体験では以下のような例をよく聞きました。

初期2語文の例
  • まんま いや(意思)
  • パパ ねんね(状況)
  • こえ(これ)なぁに(疑問)

わかる力を育てる関わり

2語文が出始める時は「ことば」と「意味」の理解が比較的安定し始めた時期と考えられます。

ここでも新しいことを教えるというより、「今わかっていることを、より整理してあげる」ことが大切。

そのまま受け取る例
  • 👦「パパ ねんね」
  • 👩「そうね、パパ ねんね」
はるみち

正しいか否かは重要ではありません。意味が伝わったことをただ言葉で返すだけでOK。

動作や視覚情報を添えてあげる例

👦「パパ ねんね」

👩「そうね、パパ)(指さす👉) ねんね(🙏ほっぺにあてる)」

はるみち

まだ音だけでは不安定な部分を、“見える化で整理”してあげましょう。

まとめ

今回の記事では、言葉の発達を「わかる力(理解)」と「伝える力(表出)」の2つの軸で整理し、0〜3歳前後を目安にした段階的な成長を紹介しました。

伝える力に目を奪われがちですが、日常の中でわかる力と楽しく向き合いながら言葉の成長を見守っていきたいですね。

言語表出段階ごとのポイント

表出段階“目安”時期関わりポイント
目線・
表情
3〜9ヶ月頃
から
表情や笑顔で気持ちをキャッチする
身振り・
指差し
9〜18ヶ月頃
から
子供の表出を丁寧に拾い、テンポよく反応を返す
音声6〜12ヶ月頃
から
絵本などで擬音語など耳に留めやすい情報に触れる
単語1歳前後〜2歳頃からジェスチャーや指差しを意識する
2歳前後〜3歳頃からそれぞれの後に視覚情報を足してあげる

日常で意識したいこと

  • 子どもの今の言語発達段階を観察
  • わかる力(理解)を支える関わりを意識
  • 遊びや絵本など楽しみながら実践

次に読むなら(※必要な方のみ)

インリアル・アプローチとは?(概念記事)

「わかる力」「伝える力」をどうやって日常の関わりに落とし込めばいいのか、その考え方の土台を知りたい方はこちらで詳しく解説しています。

共同注意とは

  • そもそも目がなかなか合わない
  • 人よりモノに関心が高そう
  • やりとりが続きにくい

このような事が気になる場合は「共同注意」という考え方が参考になります。

著者写真

はるみち(言語聴覚士/公認心理師)

【経歴】MRとして製薬会社に10年勤務し30歳過ぎでST養成校へ。 現在は臨床で言語聴覚士として10年以上の経験を持つ。令和4年に公認心理師を取得。【専門】小児の言語発達とコミュニケーション支援。

→ 詳しいプロフィールはこちら

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