【5歳で言葉が遅い子に】言語聴覚士が選ぶ言葉を引き出す絵本9選

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はるみち

言語聴覚士公認心理師のはるみちです

私は現在、未就学児を対象に療育・発達支援の現場で働いています。

その中でも以下のようなご相談の割合が多くあります。

子供はもう5歳になるけど、気持ちを言葉で表現するのが難しいみたい…

5歳の息子と会話がうまく成り立たないんです。よくカタコトになっちゃってます

5歳になるとすでに療育に通われていたり、何らかのサポートを受けているケースも少なくないかと思います。

そこまで日常で困ってはいないんだけど、言葉の発達はやっぱり気になる

お家でできること何かないかなぁ

こういう場合に私は「絵本の読み聞かせ」をオススメしており、療育の現場でも実践しています。“絵本”は、言葉の力をぐっと引き出すための“身近で楽しいツール”です。

この記事では、言語聴覚士の視点から「5つのグループに分けた言葉がゆっくりな5歳児さん」にぴったりの絵本9冊を紹介します。読むだけでなく、**「どんな声かけをすればいいか」や「どう読めば言葉が伸びやすいか」**もあわせて解説します。

「うちの子に合う絵本が見つかる」「今日からできる関わりがわかる」——そんな内容になっています。

絵本を通して、お子さんとのコミュニケーションが今まで以上に楽しめるものになると嬉しいです。

目次

5歳児:言葉の発達の特徴

5歳ごろの子供は言葉の世界がググッと広がっていく時期です。

言葉で思いを伝えたり、相手の話を聞いて考えたりと、コミュニケーションの幅が一気に広がる頃でもあります。

ただし、「5歳ならこれだけできるよ」という決まった形があるわけではありません。

話すのが得意な子、運動の方が得意な子、理解はできているけど言葉にするのが苦手な子など様々。いずれも発達の途中にある自然な姿です。

たとえば、以下のような様子は5歳前後でもよくみられます。

言葉がゆっくり?な5歳児にみられがちな様子
  • 話しかけたら理解してそうだけど、返事は遅め
  • 言いたいことがありそうだけど、言葉が出にくく気持ちの浮き沈みが激しい
  • 興味のある話題はたくさん話すけど、それ以外は静か

これは「遅れ」と捉えるよりも、言葉の理解(インプット)と表出(アウトプット)のバランスがまだ整っていない状態・影響と考えるとよいかもしれません。

基本的には理解(インプット)先行で伸びることが基本です。表出(アウトプット)の拙さに対して過度に焦る必要はありません。ただ、理解の伸びってわかりにくいですよね。

言語聴覚士の立場から見ると、5歳の頃に大切なのは「表出バリエーションの豊かさ」よりも「誰かと楽しいやり取りができているか否か(≒素敵なインプットの機会を持てているか)」です。そして

  • 「話したい」
  • 「伝わった」
  • 「わかってもらえた」

こんな小さな経験の積み重ねが、これからの子供の言葉を育む土台になっていきます。

その土台作りをいいカンジにサポートしてくれるのが“絵本”

絵本の中には、言葉のリズム・会話のやりとり・想像の膨らみ・感情の表現など、言葉の発達に必要な要素がたくさん詰まっています。そしてそれを大好きな人と共有することで、安心しながら楽しく学べます。

次のセクションでは言葉の発達を後押しする「絵本の選び方」をご紹介します。

発達段階(発達年齢)に合った絵本の選び方

子どもの言葉の発達には、年齢だけでなく「発達段階」に応じた関わりが欠かせません。

絵本選びも同じで、今の言葉の力に合った絵本を選ぶことが、次の成長を支える大きなポイントになります。

以下に簡単な例を挙げてみます。

発達段階どんな本がいい?絵本タイトルの例
まだまだ言葉の理解が中心繰り返しや擬音が中心の本「だるまさんが」
単語やフレーズが増えてきたらモノの状態などを言葉にする本「いろいろばぁ」
会話が伸びてきたら登場人物の気持ちを想像できるような本「どうぞのいす」


このように段階に合わせて少しずつステップアップしていくと、自然に“語彙”と“表現力”の両方が育っていきます。

くわしい段階別の考え方や、発達と絵本の関係については下の記事でまとめています。

▶︎言葉の発達段階に合わせた絵本選び【言語聴覚士がステップ別に解説】

言葉の遅れポイント別:5歳にオススメの絵本9選

「言葉がゆっくり」とはいっても原因や苦手なポイントは様々。

ここでは言語聴覚士の視点から、5つのポイント・グループ別に言葉を育てる絵本を紹介します。

お子さんの特徴に近いグループを参考にされてみてください。

以下、ジャンプできます

①語彙が少ないグループ(ことばのストック不足)

物や動作の名前、状態(大きさや高さなど)を表す言葉など、「言いたいんだけど言葉が出てこない」グループ。

語彙を豊かにするには、生活の中で使う言葉をたくさん聞く・見る体験が大切です。

『バムとケロのにちようび』(島田ゆか/文溪堂)

S T的オススメポイント
  • 絵の情報量が多く、登場するものの名前を通して語彙を広げやすい作品です。
  • 言葉を“聞く”より“見て気づく”タイプの子に向いています。
  • 子供の指差しがあればさりげなく言葉を添えます。答えられそうなものだけ「これは何かな?」と質問してもいいですね。

②文の構成が苦手グループ(2語文・文法理解の弱さ)

単語は出ているけど文がぎこちない。片言のような言い回しになってしまうグループ。

『ぐりとぐら』(なかがわりえこ/福音館書店)

ST的オススメポイント
  • 「どんなにおいだろうね?」「なに作ってるのかな」など、描写を一緒に言葉にするとgood。
  • 指差しながら「お皿に◯◯あるね」と言葉のラベリングのチャンスがたくさん!
  • 「ぐりが〇〇してるね」「ぐらも◯してるね」と主語+動詞の形で繰り返し語ってみると構文の基礎力がアップ。

スイミー

ST的おすすめポイント
  • 「だれが・なにを・どうした」など因果関係がわかりやすく、物語理解の基礎を作ってくれる。
  • 短い文を区切って読むことで、文の構造理解を少しずつ支えてくれる様な構成。

③理解・整理が苦手グループ(指示内容・状況理解が不十分)

話を聞いても内容がつかめない、質問に答えにくいタイプ。

イメージ理解と言葉の結びつきを助ける絵本が効果的です。

『ももいろのきりん』(中川李枝子/福音館書店)

ST的おすすめポイント
  • ストーリーの流れが穏やかで、イメージを言葉に結びつけやすい内容。
  • 「いま◻︎◻︎が動いているね」など動作主の理解を自然に促すことができる。
  • 「次どうなるだろうね」など声掛けをしながら予測と結果を照らし合わせることで、文脈理解話を整理する力を養います。

ねえ、どれがいい?』(ジョン・バーニンガム/評論社)

ST的おすすめポイント
  • 質問形式で、選択肢と言葉の対応を楽しく学べる。
  • 子どもが答えた後に、「〇〇がいいんだね。どうしてかな?」と理由を言葉で表す練習に使いましょう。理解と言語表現の橋渡しになります。

④発話意欲が低いグループ(言葉を出す自信があまりない)

話すことへの興味や自信がまだ育っていないグループ。

自由で楽しい言葉体験を重ねることで「話したい」「声を出したい」が生まれ高まります。

『めっきらもっきらどおんどん』(長谷川摂子/福音館書店)

  • 擬音語が豊富で、音のリズムが子どもを“声に出すこと”へ導く絵本です。
  • 部分的にでも一緒に声に出すことで、言葉遊び感覚で音を真似する経験を積める。
  • 発話が苦手な子に、“しゃべってもいいんだ”という自信楽しみを与える一冊。

『バルバルさん』(西村敏雄/福音館書店)

  • 人とのやり取りを通じて“会話の流れ”が自然に描かれた作品です。
  • 繰り返し読んでお子さんが覚えてきたら、登場人物のセリフを親子で役割交代しながら読むと効果的。「お客さんどうぞ」「ありがとう」など、社会的なことばを体験的に覚えられます。

⑤感情表現のサポートが必要グループ

自分の気持ちをうまく言葉に置き換えることができず、アクションや癇癪などで表現してしまう。

「こころのことば」を育てる絵本が、自己理解と共感力を支えます。


『ちょっとだけ』(瀧村有子/福音館書店)

  • 共感や我慢といった感情を丁寧に描いた作品。
  • 「どうして少し泣いたんだろうね?」など、行動の裏側にある気持ちを言葉にして整理します。
  • 「嬉しい」「悲しい」「寂しい」など、感情語のインプットに最適。

『おこる』(中川ひろたか/金の星社)

ST的おすすめポイント
  • 感情語を具体的に扱った良書で、怒りの強さや変化を視覚的に理解できます。
  • 絵を見ながら「どんな顔してる?」「怒ると体はどうなる?」と実際に顔や身体を使って親子で体感してみましょう。
  • 感情→身体→言葉という順で結びつけると、自己調整力にもつながります。

まとめ

言葉の伸びには「理解」「語彙」「文法」「発話意欲」「感情表現」といった多くの要素が関係します。

絵本はそれぞれの発達要素にアプローチできる心強い味方です。


傍にいる大人が少しポイントを意識して読むだけで、楽しみながら無理なく子供の言葉の発達を促すことができます。

是非お子さんにピッタリな一冊を見つけてみてください。

著者写真

はるみち(言語聴覚士/公認心理師)

【経歴】MRとして製薬会社に10年勤務し、30過ぎでST養成校へ。現在は臨床で言語聴覚士として10年以上の経験を持つ。令和4年に公認心理師を取得。
【専門】小児の言語発達とコミュニケーション支援。

→ 詳しいプロフィールはこちら

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