共同注意とは?2歳3歳で発語がない子の言語発達の目安をSTが解説

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はるみち

小児言語聴覚士公認心理師の「はるみち」です。

ママさん

うちの子“あんま目が合わない…”言葉も殆ど話さない

パパさん

息子は一人遊びばかりしてます。他人に興味ないのかな?

私は現在未就学児を対象に発達の支援を行っていますが、そんな不安やモヤモヤを抱えている親御さんは本当に多くいらっしゃいます。

療育を検討・利用している親御さんの相談内容の多くは『ことばに関する悩み』

大切なお子さんから意味のある言葉が聞かれないと不安も強くなってしまいますよね。

「個人差がある」とかは耳タコだと思いますので、私の経験ベースの意見にはなりますが

療育を利用されるお子さんで、3歳以降で言葉が伸びてくる割合は非常に高いです。

今回の記事は以下のような事で悩まれている親御さんに向けて、言葉の土台づくりについて解説する内容になっています。

こんな事で悩まれている人へオススメ
  • 子供と目が合わない
  • 子供の発語がない
  • 一人あそびばかりしている
  • 人よりモノへの関心が高い

この記事からわかること

  • 子供の発語への準備は“今”どれだけ進んでいるのか
  • 言葉が出る前の子供の反応に気をつけるポイント
  • 言葉の土台“共同注意”について

耳慣れない“共同注意”という用語が出てきました。

これは専門的な言葉ではありますが、自分誰か何かを“共有する三角形”を作る」こと。

コミュニケーションの土台となるとても大切な考え方です。分かりやすく解説していますので、安心してお付き合いください。

目次

“共同注意”とは言語発達・コミュニケーションの土台になる力

共同注意は、「言葉が出る前」に育ってほしい、最も重要なコミュニケーションの土台のこと

図のように興味・関心のトライアングルが出来上がっている状態とも言えます。

でも表情でも「ねぇねぇ見て見て」といった子どもからの意志表示がポイント。

一般の書籍では、共同注意が確認され始める目安は概ね9ヶ月〜11ヶ月前後と記載されていることが多いです。

共同注意から期待できること

一人で何かを見たり触ったりするよりも、誰かと一緒にする方が経験値は絶対後者の方が多いですよね。

これにより以下のようなコミュニケーションの土台が出来てきます。

共同注意から期待できること
  • 他者への関心・理解の拡大
  • 発語や言語の理解が進む
  • 社会性の発達
  • もうすぐ意味のある言葉が出るサイン
    など

下の表は共同注意の“ある/なし”をざっくり比較したものです。

共同注意なし共同注意あり
世界狭い(自分とモノの直線)広い(自分,モノ,他人の三角)
情報量少ない多い
発語まで遠い近い

もっと大きな世界から、いっぱい吸収するための土台ができたよー

もうちょっとで言葉になりそう✨

共同注意が成立している子供達からは、こんなメッセージを受け取る事ができます。

共同注意を引き出す詳しい実践方法についてはコチラの記事を参考にされてください。

共同注意を作り上げる③つの要素

以下の3つが共同注意の要素

  1. 2項関係
  2. 3項関係
  3. 気持ちの表出方法(表情・目線・指差し・発声)

素材①子供の興味を引くモノで“2項関係”をつくる

2項関係とは①自分と②何か興味関心でつながっている状態のこと。何かとは例えば玩具や絵本です。

もちろん①子供と②大人が繋がることも2項関係です。ただし、2歳や3歳でことばがゆっくりな子は、人との2項関係の方が弱い傾向にあります。

そのため今回の記事で2項関係は、子供とモノを前提に説明を続けます。

素材②大人の存在に気づいてもらい“3項関係”を作る

3項関係ができるまで(玩具の例)
  1. 子供が玩具と2項関係を作っているそばで、大人も同じ遊びやその場に参加(2項関係)
  2. 子供が玩具だけでなく、大人の存在も意識できている(もうすぐ3項関係)
  3. 玩具を共有(3項関係)

子供・玩具・大人といったトライアングル△が形成された状態で3項関係が成立している。

素材③子供の気持ちが表出されるアクション

子供の中に「楽しいな」や「見てほしい」といった欲求・要求が高まるとアクションとして身体の外に気持ちが放たれます。代表的なアクションは以下。

子供が気持ちを解き放つアクション例
  • 表情
  • 目線
  • 指差し
  • 発声など

このアクションを、3項関係を作っている相手に放っている時間こそが共同注意が成立しているということ。

アクション2(3)項関係共同注意
表情
(例:笑顔)
(楽しいな)(楽しい
目線
(例:関心)
(気になるな)これなぁに
指差し
(例:発見)
(見つけた!)(見つけた
発声
(例:驚き)
(すごい!)みて!すごい!)

このように共同注意では、子供のアクションが呼びかけ・同意・共感といった、他者がいないと成立しない上位アクションに変化します。

はるみち

「みて」という子供さんからの呼びかけを、長い間ずっと待っていたお母さんから「先生!“みて”言いました!!」の報告を受けた時は共に大喜びしました☺️

共同注意をたくさん実践できる読み聞かせ”について解説している記事も参照ください

家庭でできる|共同注意を育てる関わりの実例

ここからは、共同注意に関わる支援の実例を解説します。

ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けている3歳女の子(以下Aちゃん)の実例です。

以下が支援実施の際のおおまかなポイントです。

  1. 好きな玩具や活動を知る
  2. 真似をし、真似をしてもらう
  3. 大人と一緒じゃないと出来ない体験をしてもらう
はるみち

目線が合わず、いつも斜め上あたりを見ている女の子でした

好きな玩具・活動を知る

好きな対象を知ることでAちゃんのモノに対する2項関係を把握します。

人(私)に対する関係性を構築・強化するのが目的です。

今回のケースではメルちゃんの人形遊びがAちゃんのお気に入りでした。

真似をし、真似してもらう

本人にとって楽しい活動をしていると、繰り返し見る動作が出現する事があります。Aちゃんの場合は2回、3回と手を叩く事でした。

手を叩く動作が出る時はすかさずコチラもマネ。これには以下のような狙いがあります。

  • 同じ動作で親近感を持ってもらう心理効果(※ミラリング)
  • 楽しい気持ちを受け取ってるよアピール
  • 成功体験の積み重ね

Aちゃんにとって「伝わった!」という成功体験を重ねてもらうことも大事です。

2項関係が強化されてくると、今度はAちゃんがこちらの動作を真似してくれる反応が現れ始めました。

動作の真似は言葉の真似に繋がっていきます

※ミラリングなど、子供への接し方についてはインリアル・アプローチという方法を意識して実施しています。詳しくは別記事をご参照ください。

大人と一緒じゃないと出来ない体験をしてもらう

お気に入りのメルちゃんが可愛い帽子をかぶってくれた…

見た目が少し変わることで、お気に入りのモノを更に大好きになることがありますよね。

Aちゃん一人では上手に帽子を被せてあげることができない。そこでそばにいる大人の手を借り、帽子を被せてあげることに成功しました。

初めて成功できた時は、それはそれは可愛い笑顔をこちらに向けてくれました。


この様なポイントを意識しながら支援に入り続けました。その間は園や保護者さんと情報を共有することも重要です。

上記のような関わりを半年程度続けた結果、以下のような言葉を耳にする日が訪れたのです。

Aちゃん

あか  りんご

はるみち

うん。りんご、赤だねぇ(キター!!)

メルちゃんセットに書いてあるりんごの絵柄を見て発した言葉でした。

この頃には共同注意が得られる頻度も上がり、3項関係も支援開始の時に比べるとかなり成立し易くなっていました。

まとめ

  1. 2項関係ができる
  2. 3項関係ができる
  3. 3項関係から子供が同意・呼びかけなどの意思表出をする
  4. 共同注意が成立する

今回は共同注意という考え方に注目して、子供の言葉の発達について解説してみました。

上記のどのあたりの反応をよく見ますか?それによってお子さんの発語に向けた段階がどのあたりかおおよその検討がつくと思います。

共同注意は子供と遊んでいる間中、ずっと成立しているわけではありません。3項関係が成立して、子供が意思を向けてくれるその瞬間に成り立つモノです。

そんな、子供が輝く瞬間を見逃さずしっかり拾ってあげることが、発語ややりとりへ向けた確実な足がかりとなります。

本記事が、子供の言葉が出ずに悩む皆様の一助になれば幸いです。

著者写真

はるみち(言語聴覚士/公認心理師)

【経歴】MRとして製薬会社に10年勤務し、30歳過ぎでST養成校へ。現在は臨床で言語聴覚士として10年以上の経験を持つ。令和4年に公認心理師を取得。
【専門】小児の言語発達とコミュニケーション支援。

→ 詳しいプロフィールはこちら


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